時代とともに、人々の働き方は変化してきました。
親世代では当たり前だったことも、今では必ずしもそうとは限りません。
昨今の技術の進化や人手不足、ライフスタイルの多様化などを背景に、企業の勤務体制も様々なかたちへと広がっています。
そんな時代に働き盛りを迎える皆さんにとって、働き方の多様性や勤務体制について知っておくことは、決して損ではないはず。
最近では、毎日会社に出社する働き方だけでなく、在宅勤務、フレックスタイム制、時短勤務、週休3日制など、企業によってさまざまな働き方があります。
だからこそ、就職活動では仕事内容や給与だけでなく、「どのような働き方ができる会社なのか」にも目を向けてみることが大切です。
まず、現在の様々な働き方を見る前に、これまでの人々がどのような働き方をしてきたのか、その流れを一緒に振り返ってみましょう!
今では「1日8時間働く」という勤務時間は、多くの人にとって当たり前のように感じられるかもしれません。
しかし、この働き方は、最初から自然に決まっていたものではありません。背景には、長時間労働から働く人を守ろうとした歴史があります。
かつては長時間労働が当たり前だった
産業が発展していく中で、工場などで今より長時間働くことも珍しくなく、労働環境の改善が社会的な課題になっていきました。そうした中で、世界的に「働く時間を短くし、休む時間や自分のための時間を確保しよう」という考え方が広がっていきます。
有名なのが、「8時間は労働、8時間は休息、8時間は自由な時間」という考え方です。
1日24時間を、仕事だけに偏らせるのではなく、休息や生活の時間も大切にする。この考え方が、8時間労働という仕組みの土台になっていきました。
日本では労働基準法が大きな転機に
日本では、1947年に労働基準法が制定されたことが大きな転機となります。このとき、「1日8時間、週48時間」が労働時間の原則として定められました。
ただし、当時は今のような完全週休2日制が一般的だったわけではなく、1日8時間で週6日働く形も多く見られました。
週48時間から週40時間制へ
その後、長時間労働の問題や産業構造の変化などを背景に、労働時間の見直しが進みます。
1987年の労働基準法改正をきっかけに、週の法定労働時間は48時間から40時間へと段階的に短縮され、現在よく見られる「1日8時間・週5日勤務」に近い働き方が広がっていきました。
つまり、1日8時間労働は、単なる会社のルールではなく、働く人の健康や生活を守るために整えられてきた仕組みなのです。
これからの時代、働き方はどうなるのか。
これからの働き方は、今よりもさらに多様になっていくと考えられます。
背景にあるのは、AIやデジタル技術の進化、人手不足、ライフスタイルの多様化などです。企業は、限られた人材でよりよい仕事をしていくために、働く場所や時間、仕事の進め方を見直す必要が出てきています。
AIやデジタル技術を使う仕事が増えていく
これからは、AIやデジタルツールを活用しながら働く場面がさらに増えていくと考えられます。
たとえば、書類作成、データ整理、問い合わせ対応、情報収集、スケジュール調整など、これまで人が時間をかけて行っていた業務の一部を、AIやシステムがサポートすることも増えていくでしょう。
ただし、AIがすべての仕事を代わりに行うということではありません。AIが得意な作業はAIに任せ、人は考えること、判断すること、人と関係を築くこと、アイデアを生み出すことにより力を使っていく。そんな役割分担が進んでいくと考えられます。
働く場所や時間は、もっと柔軟になっていく
これからは、「必ず毎日会社に出社する」という働き方だけでなく、仕事の内容に合わせて働く場所を選ぶスタイルも広がっていくでしょう。
在宅勤務、サテライトオフィス、コワーキングスペース、外出先での作業など、働く場所の選択肢は増えています。もちろん、すべての仕事がリモートでできるわけではありません。製造、医療、介護、接客、現場作業など、実際にその場にいることが必要な仕事もあります。
仕事の内容に合わせて、より効率よく、無理なく働ける形を考えることが大切と言えます。
場所だけでなく、時間の考え方も変化していくと考えられます。
企業にとっては、社員に長く活躍してもらうため、一人ひとりが働きやすい環境を整えることも大切になっていきます。
「長く働く」より「どう成果を出すか」が重視されていく
単に長い時間働くことよりも、限られた時間の中でどのように成果を出すかが、より重視されていくと考えられます。AIやデジタルツールを活用して作業を効率化したり、チームで役割分担を工夫したり、必要な情報をすばやく共有したりする力が求められていくでしょう。
そのため、就職後も新しいツールや考え方を学び続ける姿勢が大切になります。入社した時点の知識だけでなく、変化に合わせて少しずつ自分をアップデートしていく力が、これからの社会ではより重要になっていくはずです。
やはり、これから社会で働いていく皆さんにとっては、「無理なく働き続けられるか」「将来育児や介護との両立できるのか」といった、長く働く上での不安があると思います。
せっかく入社するのですから、「将来ライフステージが変わっても働き続けられる会社なのか」という観点から、企業をあらかじめ研究しておきたいですよね。
特に気になる・知っておきたい点について、どのような対応策がとられているのか、一緒に見ていきましょう。
ライフイベントと両立するための制度
働き始めたばかりの頃は、育児や介護はまだ先のことに感じるかもしれませんが、長く働くことを考えると、ライフイベントと仕事を両立できる環境があるかどうかは、とても大切な視点です。
育児や介護と仕事を両立するための制度には、大きく分けて「政府が定めている制度」と「会社が独自に整えている制度」があります。
1.政府が定めている主な制度
政府が定めている制度は、働く人が育児や介護を理由に仕事を続けることをあきらめなくてもよいように、法律に基づいて整えられているものです。
たとえば、次のような制度があります。
●育児休業
子どもが生まれたあと、一定期間仕事を休むことができる制度です。
●介護休業
家族に介護が必要になったとき、一定期間仕事を休むことができる制度です。
●子どもの看護等休暇
子どもの病気やけが、予防接種、学校行事などに対応するために取得できる休暇です。
●介護休暇
家族の介護や通院の付き添い、手続きなどのために取得できる休暇です。
●短時間勤務制度
事情に合わせて、通常より短い時間で働ける制度です。
育児や介護などと仕事を両立するために利用されることがあります。
このように、育児や介護が必要になったときに、休業や休暇、勤務時間の調整をしながら働き続けるための制度が用意されています。
2.会社が独自に整えている制度
一方で、会社ごとに独自の制度を設けている場合もあります。法律で定められた制度に加えて、社員がより働きやすくなるように、会社が工夫している制度です。
たとえば、次のようなものがあります。
●時差出勤
通常の始業・終業時間をずらして働ける制度です。通勤ラッシュを避けたり、家庭の事情に合わせたりしやすくなります。
●フレックスタイム制
一定のルールの中で、出勤時間や退勤時間を自分で調整できる制度です。生活リズムや予定に合わせて働きやすいのが特徴です。
●在宅勤務・テレワーク
自宅などの会社以外の場所で仕事をする制度です。
通勤時間を減らせる一方で、自己管理やオンラインでのコミュニケーションが大切になります。
●時間単位の有給休暇
1日単位ではなく、数時間だけ休みを取れる制度です。
●復職後のサポート制度
育児休業や介護休業から戻ったあとに、面談や相談の機会を設ける制度です。
●相談窓口の設置
育児や介護と仕事の両立について、会社に相談できる窓口を用意している場合もあります。
特に近年は、社員に長く活躍してもらうために、育児や介護と仕事を両立しやすい環境づくりに取り組む企業も増えています。
ただし、制度があることと、実際に使いやすいことは必ずしも同じではありません。企業研究では、制度の有無だけでなく、実際に利用している社員がいるのか、復職後も働き続けやすい雰囲気があるのか、周囲の理解があるのかも見ておきたいポイントです。
「今の自分には関係ない」と思う制度でも、将来の安心につながることがあります。働き続けやすい会社かどうかを考えるうえで、ライフイベントとの両立支援は大切なチェック項目の一つです。
近年よく聞く働き方の一つに、在宅勤務やテレワークがあります。これは、会社のオフィスに出社するのではなく、自宅など会社以外の場所で仕事をする働き方です。
在宅勤務には、通勤時間を短縮できる、自分の作業に集中しやすい、育児や介護など家庭の事情と両立しやすいといったメリットがあります。一方で、仕事とプライベートの切り替えが難しくなったり、社員同士のコミュニケーションが少なくなったりすることもあります。
また、「在宅勤務あり」と書かれていても、毎日利用できる会社もあれば、週に数回だけ、特定の職種だけ、入社後しばらくしてから利用できるなど、ルールは会社によって異なります。
そのため、企業研究では「在宅勤務があるかどうか」だけでなく、どのくらいの頻度で使えるのか、どの職種が対象なのか、実際に利用している社員がいるのかも確認しておくとよいでしょう。
在宅勤務は便利な制度ですが、すべての人や仕事に合うとは限りません。自分はどのような環境の方が集中しやすいのか、チームで働くうえでどんな関わり方がしやすいのかを考えるきっかけにもなります。
全国共通の制度だけでなく、その地域ならではの事情に合わせて制度を整えている企業もあります。
たとえば、新潟のような雪国では、冬の通勤が働き方に大きく関わることがあります。
大雪の日は道路がとても混んでいたり、電車やバスに遅れが出たりと、いつもより通勤に大幅な時間がかかることがあります。
そのため、企業によっては、通勤手当や寒冷地手当、雪の日の出社判断などに独自のルールを設けている場合があります。
代表的なものとしては、次のような制度や手当があります。
●通勤手当
自宅から会社までの交通費を補助する手当です。電車やバスなどの公共交通機関だけでなく、車通勤の場合にガソリン代相当額が支給されることもあります。新潟では車通勤の人も多いため、支給方法や上限額、駐車場代の扱いなども確認しておきたいポイントです。
●寒冷地手当
寒さや雪の多い地域で働く社員に対して支給されることがある手当です。すべての会社にあるわけではありませんが、雪国や寒冷地に拠点がある企業・団体の求人情報では、諸手当の一つとして記載されていることがあります。
●大雪時の出社判断
大雪や災害級の悪天候のときに、出社をどうするかは会社によって対応が異なります。会社の判断で出社時間を遅らせる、在宅勤務に切り替える、特別休暇や有給休暇の取得を認めるなど、柔軟な対応をしている企業もあります。
一方で、制度として明確に決まっていない場合もあるため、会社の考え方や運用ルールを知っておくことが大切です。
こうした制度は、給与金額だけでは分からない部分です。特に新潟県内や隣県での就職を考えている人は、「通勤手当はいくらまで出るのか」「車通勤はできるのか」「大雪の日はどのような対応になるのか」なども、確認できるとよいでしょう!
地域ならではの手当や働き方も、長く安心して働くための大切なチェックポイントです。
少し脱線しましたが、このように制度や手当はさまざまです。
勤務体制は、決して求人票や会社HPに書かれている制度だけで決まるものではありません。
はっきりと明記されていなくても、入社後の状況や本人の事情に応じて、働き方を個別に相談できる場合もあります。
例えば、家庭の事情に合わせた時差出勤、業務内容に応じた一部在宅勤務、体調やライフステージに合わせた勤務時間の調整など、会社によって対応の仕方はさまざまです。
特に、正社員として長く働くことを前提にしている場合は、会社側も「無理なく働き続けてもらうために、できる範囲で調整しよう」と考えることがあります。
そのため、企業を見るときは、勤務時間や制度の有無だけではなく、
・社員の事情に寄り添ってくれる風土があるかどうか
・社員の生活や健康についてどのように考えているのか
というのも大切なポイントだと言えるでしょう。
※勤務・働き方に関する用語を、場所・時間・働き方の3つに類別してまとめました。どのようなものがあるのか一度ご確認ください。
| 1.場所 | 出社 上司や同僚と直接コミュニケーションを取りながら仕事を進めやすいのが特徴 在宅勤務 詳しくは前項で紹介しています サテライトオフィス勤務 本社や自宅以外に設けられた小規模なオフィスで働く働き方。自宅近くの拠点で働ける場合もあり、通勤負担の軽減につながる。 ハイブリッド勤務 出社と在宅勤務などを組み合わせる働き方。仕事内容や予定に応じて、働く場所を柔軟に選べるのが特徴。 |
| 2.時間 | 固定時間勤務 詳しくは前項で紹介しています フレックスタイム制 詳しくは前項で紹介しています 時差出勤 詳しくは前項で紹介しています 短時間勤務 詳しくは前項で紹介しています |
| 3.働き方 (正社員) | 総合職 将来的に幅広い業務や部署を経験しながら、会社の中心的な役割を担っていくことを想定した働き方。転勤や異動がある場合もある。 一般職 主に事務やサポート業務など、決められた範囲の仕事を担当することが多い働き方。ただし、仕事内容や役割は企業によって異なる。 勤務地限定正社員 働く地域や勤務地が限定されている正社員の働き方。転勤の範囲が限られるため、地元で働き続けたい人に関係のある制度。 職務限定正社員 担当する仕事や職種が限定されている正社員の働き方。特定の専門性を活かして働きやすい一方で、担当できる業務範囲が決まっている場合がある。 短時間正社員 正社員として働きながら、通常の正社員より短い時間で勤務する働き方です。育児や介護などと両立しながら、正社員として働き続ける選択肢の一つ。 |
勤務体制は、働きやすさや生活リズムに大きく関わるポイントです。
「どんな仕事をするか」だけでなく、「どんな環境で、どんな時間の使い方をしながら働くのか」も、企業選びでは大切なポイントとなります。
気になる企業があったら、インターンシップやオープンカンパニー、合同説明会などで、チャンスがあれば直接聞いて確認をしておくと良いでしょう。
ただし、勤務体制や制度の使いやすさは、求人票だけでは分かりにくいこともありますので、個人的に気になる企業があれば、インターンシップやオープンカンパニー、合同説明会などの機会に、実際の働き方や制度の利用状況を聞いてみるのもおすすめです。
たとえば、在宅勤務はどのくらい活用されているのか、先輩社員は、育児や介護とどのように両立しているのかなど、具体的に聞いてみることで、入社後の働き方をよりイメージしやすくなります。
勤務体制を知ることは、入社後の生活を具体的にイメージすることにつながります。働く時間や場所、制度の使いやすさにも目を向けることで、自分にとって納得感のある企業研究・企業選びがしやすくなるでしょう。
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